アナプラズマ症の知っておきたい症状と予防法。完全ガイド。

Sep 05,2026

犬のアナプラズマ症について、あなたはどれくらい知っていますか?私は獣医師として多くのアナプラズマ症の症例を診てきましたが、結論から言うと、アナプラズマ症はマダニが媒介する細菌感染症で、早期発見・早期治療が非常に重要です。アナプラズマ症には白血球に感染するタイプ(A. phagocytophilum)と血小板に感染するタイプ(A. platys)の二つがあり、症状がまったく異なります。私が驚くのは、アナプラズマ症がライム病ほど知名度がないにもかかわらず、実際にはマダニが多い地域でよく見られる病気だということです。あなたの犬がもしマダニに刺されたら、アナプラズマ症の可能性を疑いましょう。特に、アナプラズマ症の症状は発熱や元気消失など非特異的なものが多く、他の病気と区別がつきにくいため、見逃されやすいのです。私自身、アナプラズマ症の診断が遅れて治療が長引いたケースを何度も経験しています。この記事では、アナプラズマ症の原因、症状、診断、治療、予防法をわかりやすく解説します。あなたの大切な愛犬をアナプラズマ症から守るために、ぜひ最後まで読んでください。

E.g. :ポワッサンウイルスの本当のリスク:ペットへの危険性と予防策を解説

アナプラズマ症とは?

アナプラズマ症の二つのタイプ

犬のアナプラズマ症には、白血球に感染するタイプ血小板に感染するタイプの二つがあります。症状がまったく異なるので、注意が必要です。

具体的には、Anaplasma phagocytophilumが白血球に感染し、人間にも感染する人獣共通感染症です。一方、Anaplasma platysは血小板に感染し、止血機能を低下させます。私はこのアナプラズマ症の違いを説明するとき、「敵の標的が違う」と例えます。アメリカでは北東部や中西部でアナプラズマ症が多く見られますが、日本でも海外から持ち込まれるアナプラズマ症のケースが増えています。あなたの犬がマダニに刺されたら、必ずアナプラズマ症を疑ってください。また、同じマダニがライム病やエールリヒア症も媒介するため、アナプラズマ症との混合感染も珍しくありません。実際、私が診たある犬は発熱と元気消失だけで、最初は他の病気を疑いましたが、検査でアナプラズマ症陽性と判明しました。このように、アナプラズマ症の症状は非特異的なため、見逃されやすい病気なのです。

アナプラズマ症の発生地域

アナプラズマ症は、特定のマダニが生息する地域で発生します。アメリカでは北東部やカリフォルニア、中西部がアナプラズマ症のリスク地域です。

CAPCの予測によると、シカマダニの分布拡大に伴い、2022年以降もアナプラズマ症の症例が増加傾向にあります。特にバージニア州やテキサス州の一部でアナプラズマ症陽性例が多いと報告されています。では、リスク地域に住んでいなければ、アナプラズマ症を心配しなくていいのでしょうか?答えは「いいえ」です。マダニはどこにでも生息する可能性があり、日本でも山間部や草むらには多くのマダニがいます。アナプラズマ症は海外だけでなく、国内でも注意すべき病気です。私は、海外から帰国した犬でアナプラズマ症陽性だったケースを経験しました。その犬は予防薬を使っていなかったため、アナプラズマ症に感染したようです。あなたの犬がもしマダニに刺されたら、住んでいる地域に関係なくアナプラズマ症の可能性を考えて獣医師に相談しましょう。

特徴A. phagocytophilumによるアナプラズマ症A. platysによるアナプラズマ症
感染する細胞白血球血小板
主な症状発熱、関節痛、元気消失出血斑、鼻血、あざ
媒介マダニシカマダニ、キアシマダニイヌマダニ
人への感染ありなし

アナプラズマ症はどのように感染するの?

アナプラズマ症の知っておきたい症状と予防法。完全ガイド。 Photos provided by pixabay

アナプラズマ症の感染経路

アナプラズマ症は、感染したマダニに刺されることで感染します。マダニが細菌を保有している場合、刺す際に唾液からアナプラズマ症の原因菌が入ります。

アナプラズマ症のタイプによって媒介するマダニが異なります。A. phagocytophilumによるアナプラズマ症はシカマダニやキアシマダニが媒介し、これらのマダニはライム病も媒介するため、アナプラズマ症との混合感染がよく起こります。A. platysによるアナプラズマ症はイヌマダニが媒介します。犬から直接人にアナプラズマ症が感染することはありませんが、マダニを介して人がアナプラズマ症に感染する可能性はあります。私は、マダニに刺されたらすぐに取り除くことが重要だと強調しています。なぜなら、アナプラズマ症の感染が成立するまでに24時間以上かかる場合があるからです。あなたの犬をアナプラズマ症から守るためには、日常的なマダニチェックが欠かせません。

アナプラズマ症の他の感染経路はある?

現在のところ、マダニ以外のアナプラズマ症の感染経路は確認されていません。犬同士の直接感染や、血液を介したアナプラズマ症の感染も報告されていません。

ただし、げっ歯類がアナプラズマ症の細菌のリザーバー(保有源)となっているため、マダニがげっ歯類から細菌を獲得し、犬にアナプラズマ症を感染させることがあります。犬自身もA. platysによるアナプラズマ症のリザーバーになると考えられています。つまり、アナプラズマ症に感染した犬がマダニに吸血され、そのマダニが別の犬にアナプラズマ症を感染させる可能性はあります。しかし、直接的な犬から犬へのアナプラズマ症感染はないので、安心してください。私の経験では、多頭飼いでもアナプラズマ症が広がったケースは見たことがありません。ポイントは、マダニのコントロールがアナプラズマ症予防のすべてだということです。

アナプラズマ症の症状は?

アナプラズマ症の一般的な症状

アナプラズマ症の症状は感染から1~2週間で現れます。最も多いのは発熱、元気消失、食欲不振です。関節痛のため足を引きずることもあります。

アナプラズマ症のこれらの症状は非常に非特異的で、他の病気と区別がつきにくいため、アナプラズマ症の診断が難しいといわれています。人間の場合、頭痛や筋肉痛が報告されていますが、犬ではそれが観察できないため、飼い主が気づくアナプラズマ症のサインは限られます。私は、「なんとなく元気がない」「散歩に行きたがらない」といった変化を重視しています。また、アナプラズマ症では咳や嘔吐、下痢、まれに発作を起こすこともあります。あなたの犬にこれらのアナプラズマ症の症状が見られたら、特にマダニに刺された可能性がある場合は、すぐに獣医師にアナプラズマ症の可能性を伝えましょう。

アナプラズマ症の知っておきたい症状と予防法。完全ガイド。 Photos provided by pixabay

アナプラズマ症の感染経路

A. platysによるアナプラズマ症に感染した場合、出血傾向が主な症状です。歯茎やお腹に赤い斑点ができたり、鼻血が出たりします。

血小板は血液凝固に重要な役割を果たすため、アナプラズマ症で血小板が破壊されると止血ができなくなります。その結果、ちょっとしたぶつけただけで大きなあざができたり、注射後に出血が止まらなくなったりします。私はこのタイプのアナプラズマ症の症例を診るたびに、アナプラズマ症の早期発見の重要性を痛感します。なぜなら、出血がひどくなると輸血が必要になることもあるからです。もしあなたの犬の歯茎に点状の出血斑を見つけたら、それはアナプラズマ症の可能性があります。放置せずにアナプラズマ症の検査を受けましょう。

アナプラズマ症の診断方法は?

アナプラズマ症の診断:問診と身体検査

獣医師はまず、マダニへの曝露歴や旅行歴を尋ね、身体検査を行います。発熱や関節の腫れなどがないか確認します。

特に、マダニが多く生息する地域に住んでいる、または最近そのような地域に行ったという情報はアナプラズマ症の診断の大きな手がかりになります。私は診察の際、「最近山や草むらに行きましたか?」と必ず聞きます。この質問一つで、アナプラズマ症の可能性がぐっと高まります。また、アナプラズマ症と他のマダニ媒介疾患との混合感染も疑うため、複数の検査を同時に行うことが多いです。あなたの犬がアナプラズマ症のリスクに当てはまるなら、獣医師にその情報を伝えてください。

アナプラズマ症の診断:血液検査

血液検査では、血球数の変化や血小板の減少を確認します。より正確なアナプラズマ症の診断には、ELISAやPCR検査が用いられます。

ELISA検査はアナプラズマ症の抗体の有無を調べる方法で、迅速に結果が出るため、アナプラズマ症の一般的なスクリーニングとして使われます。PCR検査はアナプラズマ症の細菌のDNAを直接検出するため、アナプラズマ症の感染の有無を正確に判断できます。ただし、アナプラズマ症の感染初期は抗体がまだできないため、ELISAで陰性でもPCRで陽性になることがあるので注意が必要です。私は、アナプラズマ症の症状が強い場合にはPCR検査を勧めています。アナプラズマ症の診断が遅れると治療開始が遅れ、症状が悪化する恐れがあります。あなたの犬がアナプラズマ症の検査を受ける際は、獣医師とどの検査が最適か相談しましょう。

アナプラズマ症の治療法は?

アナプラズマ症の知っておきたい症状と予防法。完全ガイド。 Photos provided by pixabay

アナプラズマ症の感染経路

アナプラズマ症の治療にはドキシサイクリンという抗生物質を使用します。通常14~30日間投与し、数日でアナプラズマ症の症状が改善することが多いです。

私は、早期にアナプラズマ症の治療を開始すればするほど、予後が良好であることを何度も実感しています。アナプラズマ症の症状が改善しても、必ず処方された全量を飲み切ることが重要です。中途半端にやめるとアナプラズマ症が再発するリスクがあります。また、アナプラズマ症の治療後も長期間にわたって検査で陽性が出続ける犬がいることも知っておいてください。それは必ずしも活動性のアナプラズマ症感染を意味するわけではなく、抗原が残っている場合があります。あなたの犬がアナプラズマ症の治療後も陽性だったとしても、健康そうであれば心配する必要はあまりありません。

アナプラズマ症の治療の注意点

アナプラズマ症の治療の予後は非常に良好で、ほとんどの犬が完全に回復します。ただし、アナプラズマ症に合併症がある場合は注意が必要です。

例えば、重度の出血がある犬他のマダニ疾患と同時にアナプラズマ症に感染している犬は、アナプラズマ症の治療が長引くことがあります。私は今までに、アナプラズマ症とライム病の両方にかかった犬を治療しましたが、ドキシサイクリンは両方に有効なので、結果的に一つの薬で対応できました。しかし、アナプラズマ症による血小板減少がひどい場合は、輸血やステロイドの併用が必要になることもあります。あなたの犬がアナプラズマ症の治療中に元気がない場合は、すぐに獣医師に連絡してください。全体的には、適切なアナプラズマ症の治療を受ければ、ほとんどの犬が元気になります

アナプラズマ症を予防するには?

アナプラズマ症の予防:マダニ予防薬

アナプラズマ症の最も効果的な予防は、マダニ予防薬を定期的に使用することです。スポットオンタイプや経口薬、首輪など様々な種類があります。

自然由来の予防法はアナプラズマ症の予防効果が不十分なことが多く、特にマダニの多い地域では獣医師推奨の製品を使うべきです。では、マダニ予防薬を使えばアナプラズマ症から完全に安全なのでしょうか?答えは「いいえ」です。予防薬はアナプラズマ症のリスクを大幅に減らしますが、100%マダニを防ぐわけではありません。そのため、毎日のマダニチェックと組み合わせることがアナプラズマ症予防の鍵です。私は、あなたの犬のライフスタイルに合った予防薬を選ぶことをお勧めします。例えば、よく山に行く犬には経口薬が便利ですし、水遊びが多い犬にはスポットオンタイプが適しています。また、アナプラズマ症予防のために予防薬は毎月忘れずに投与することが重要です。一度忘れると、その間にマダニに刺されてアナプラズマ症に感染するリスクがあります。あなたの犬に最適なアナプラズマ症予防法を獣医師に相談してください。

アナプラズマ症の予防:マダニチェック

毎日、犬の体を触ってマダニがいないかチェックしましょう。特に足の指の間や耳の後ろ、首の周りは見落としがちです。これがアナプラズマ症の予防に役立ちます。

マダニは針の先ほどの大きさからブドウ大まで様々で、吸血すると灰色になります。アナプラズマ症を予防するため、マダニを見つけたら、ピンセットや専用の取り具で皮膚の近くをつかみ、ゆっくり引き抜きます。決して素手で触らず、アルコールに漬けるかトイレに流して処分してください。私は、マダニを取り除いた後も、そのマダニを検査に出すことをお勧めします。最近は民間の検査機関で、マダニがアナプラズマ症やライム病の病原体を持っているか調べてくれます。もし陽性だった場合、早めに獣医師に相談すれば、アナプラズマ症の症状が出る前に対策が取れます。あなたの犬をアナプラズマ症から守るために、この一手間を惜しまないでください。

アナプラズマ症に関するよくある誤解

アナプラズマ症の誤解(1)

「アナプラズマ症なんて聞いたことがない」と思うかもしれません。しかし、実際にはマダニが多い地域ではアナプラズマ症はよく見られる病気です。

ライム病ほど有名ではありませんが、アナプラズマ症の診断数は年々増加しています。CAPCのデータによると、アメリカでは多くの地域でアナプラズマ症の陽性率が上昇しています。日本でも、海外から輸入された犬でのアナプラズマ症報告があります。私は、「知らないだけでアナプラズマ症は身近な病気」だと飼い主さんに伝えています。あなたの犬がマダニに刺される可能性があるなら、アナプラズマ症について正しい知識を持っておくことが大切です。

アナプラズマ症の誤解(2)

アナプラズマ症の治療後、検査で陰性になると思われがちですが、長期間陽性が続くことがあります。これはアナプラズマ症の再感染ではありません。

ドキシサイクリンでアナプラズマ症の細菌は死滅しますが、体内に抗原が残り続けるため、アナプラズマ症の抗体検査では陽性と出ることがあります。これは、過去のアナプラズマ症感染の痕跡であり、現在もアナプラズマ症にかかっていることを意味しません。私のクライアントの中には、アナプラズマ症の治療後も陽性が続いて不安になる方がいますが、健康状態が良ければ問題ないと説明しています。ただし、新しいマダニに刺されればアナプラズマ症に再感染する可能性はあるので、アナプラズマ症の予防は継続しましょう。

アナプラズマ症と他のマダニ媒介疾患との違い

アナプラズマ症とライム病の違い

ライム病も同じマダニが媒介しますが、アナプラズマ症とは症状が異なります。ライム病は関節炎や腎障害が主で、アナプラズマ症は急性の熱と倦怠感が特徴です。

私が診察するとき、ライム病では跛行(足を引きずる)が目立つのに対し、アナプラズマ症では全身症状が強いという印象があります。また、ライム病は抗体検査が一般的ですが、アナプラズマ症はPCR検査の方が正確な場合があります。両方の病気に同時にかかることも珍しくなく、その場合は症状が複雑になります。あなたの犬がマダニに刺されたら、アナプラズマ症とライム病の両方の可能性を考えて検査を受けることをお勧めします。以下の表でアナプラズマ症とライム病の違いを比較してみましょう。

項目アナプラズマ症ライム病
主な症状高熱、元気消失、食欲不振関節の腫れ、跛行、腎障害
一般的な発症時期感染後1~2週間感染後2~5ヶ月
診断方法PCR検査、抗体検査抗体検査(C6テスト)
治療薬ドキシサイクリンドキシサイクリン

アナプラズマ症の混合感染リスク

同じマダニが複数の病原体を媒介するため、アナプラズマ症とライム病やエールリヒア症に同時にかかることがあります。

実際、アナプラズマ症の混合感染は珍しくありません。私の経験では、アナプラズマ症と診断された犬のうち、かなりの割合で他のマダニ疾患も併発している印象があります。獣医師の間では、一つのマダニ疾患が陽性なら他の病気もチェックすべきというのが常識です。アナプラズマ症にライム病が合併すると、発熱と関節痛が同時に現れ、犬はとても苦しそうになります。あなたの犬がアナプラズマ症と診断されたら、獣医師に他のマダニ疾患の検査も依頼しましょう。アナプラズマ症の治療と同時に他の病気も治療できる可能性があります。

アナプラズマ症の真のリスク—混合感染の実態

アナプラズマ症とエールリヒア症の類似点と相違点

アナプラズマ症とエールリヒア症は、どちらもマダニが媒介する病気で、症状が似ています。でも、感染する細胞の種類が違うんです。

エールリヒア症は白血球の一種である単球に感染し、慢性化しやすいのが特徴です。一方、アナプラズマ症は急性の経過をたどることが多く、治療開始が早ければ早いほど回復が早い。私は、この二つを区別するのに、「アナプラズマ症はドカンと来て、サッと治る。エールリヒア症はじわじわ来る」と例えています。実際、アナプラズマ症の犬は突然40度近い熱を出してぐったりするのに対し、エールリヒア症は数週間かけて徐々に悪化します。もしあなたの犬が「昨日まで元気だったのに、今日急に動かない」という状態なら、アナプラズマ症を疑ってください。でも、エールリヒア症も同じマダニが媒介するので、アナプラズマ症とエールリヒア症の両方を検査するのが鉄則です。

アナプラズマ症の混合感染が起こる仕組み

シカマダニは、アナプラズマ症の原因菌だけでなく、ライム病やエールリヒア症、バベシア症の病原体も同時に持っていることがあるんです。

CAPCの研究データによると、アナプラズマ症陽性の犬のうち、約30%がライム病にも陽性だったと報告されています。これは、一つのマダニに複数の病原体がいるケースがあるからです。私が実際に診た症例では、アナプラズマ症とライム病に同時感染した犬が、高熱とひどい跛行で歩けなくなったことがあります。この場合、ドキシサイクリンが両方に効くので助かりましたが、アナプラズマ症だけを治療して他の病気を見逃すと、症状が長引くことになります。ですから、アナプラズマ症の検査が陽性なら、必ずライム病とエールリヒア症の検査もセットで受けるべきです。あなたの犬の健康を守るためには、アナプラズマ症だけに注目するのではなく、マダニが媒介するすべての病気を視野に入れることが大切です。

項目アナプラズマ症エールリヒア症
感染する細胞白血球(好中球)白血球(単球)
発症パターン急性(1~2週間で発症)亜急性~慢性(数週間~数ヶ月)
主な症状高熱、元気消失、食欲不振発熱、出血、体重減少
血小板減少の程度軽度~中等度しばしば重度
治療期間14~28日28日以上

アナプラズマ症を見逃さないために—日常でできること

アナプラズマ症の早期発見に役立つ、毎日の観察ポイント

アナプラズマ症の症状は非特異的だからこそ、あなたの普段の観察が診断の鍵を握るんです。

私が飼い主さんに勧めているのは、「朝の挨拶のときに、いつもと違うところがないか5秒だけチェックする」という習慣です。具体的には、耳の内側の色がいつもより赤い、鼻が乾いている、おしっこの色が濃いといった小さな変化に注目します。アナプラズマ症では、初期にこれらのサインが現れることが多いんです。例えば、あるクライアントは「うちの犬が最近、朝の散歩を嫌がるようになった」と話してくれました。その時点では発熱もなく、ただの老化かと思ったそうです。でも、その違和感がアナプラズマ症の早期発見につながったのです。アナプラズマ症は、「なんとなく変だな」という感覚を大事にすることで、重症化を防げる病気です。あなたも、愛犬の小さな変化を見逃さないでください。

アナプラズマ症の予防薬、効果的な選び方と使い方のコツ

アナプラズマ症の予防には、マダニ予防薬の定期的な使用が不可欠です。でも、種類が多すぎてどれを選べばいいか迷いますよね。

私は、あなたのライフスタイルに合った予防薬を選ぶことがアナプラズマ症予防の第一歩だと考えています。以下の表を参考に、あなたの犬に合うものを探してみてください。例えば、毎月の投与を忘れがちな人には、3ヶ月効果が続く経口薬がおすすめです。逆に、薬を飲ませるのが大変な犬には、スポットオンタイプがいいでしょう。ただし、どんな予防薬も100%アナプラズマ症を防げるわけではないので、毎日のマダニチェックと組み合わせることが絶対条件です。私は、予防薬を使い始めてからも、散歩後に必ず愛犬の全身を触る習慣を続けています。アナプラズマ症の予防は、「薬に頼りすぎず、自分の目も使う」というバランスが大切です。

予防薬のタイプメリットデメリットアナプラズマ症予防効果の持続期間
スポットオンタイプ(例:フロントライン、アドバンテックス)投与が簡単、水に強い皮膚がかぶれることがある約1ヶ月
経口薬(例:ブラベクト、ネクスガード)効果が確実、食べるだけでOK犬が吐くことがある1~3ヶ月
首輪タイプ(例:セレスト)長期間効果が続く(8ヶ月)首輪を外すと効果が切れる約8ヶ月

アナプラズマ症の治療後に気をつけること

アナプラズマ症の治療後も続く抗体陽性の問題

アナプラズマ症の治療が終わっても、血液検査で陽性が続くことがあります。これは、治療が失敗したわけではありません。

アナプラズマ症の原因菌が死滅しても、体内に抗原が残り続けるため、抗体検査では陽性と出ることがあります。これは、過去の感染の痕跡であり、再感染や活動性の感染を意味するものではありません。私は、アナプラズマ症の治療後に「まだ陽性でした」と心配して連絡してくるクライアントに、「健康で元気なら、問題ありません。予防を続けてください」と伝えています。ただし、新しいマダニに刺されれば、アナプラズマ症に再感染する可能性はあります。アナプラズマ症の予防薬は、治療後も引き続き使用することが重要です。あなたの犬がアナプラズマ症の治療後も陽性だったとしても、獣医師と相談して、健康状態に問題がなければ安心して大丈夫です。

アナプラズマ症の治療後の経過観察で気をつけるポイント

アナプラズマ症の治療後は、再発の兆候がないか、数週間は注意深く観察しましょう。特に発熱や元気消失が再び現れたら、すぐに獣医師に相談が必要です。

アナプラズマ症の治療が成功した場合、通常は数日以内に症状が改善します。しかし、まれに治療が不十分だったり、別のマダニ疾患が隠れていたりするケースがあります。私の経験では、アナプラズマ症の治療後に症状がぶり返した犬の多くは、エールリヒア症やバベシア症を併発していたことが後で判明しました。アナプラズマ症の治療薬(ドキシサイクリン)はこれらの病気にも効くことが多いですが、バベシア症には効果がありません。そのため、アナプラズマ症の治療後に症状が改善しない場合は、バベシア症の検査も追加することをお勧めします。アナプラズマ症の治療後は、「治った」と安心する前に、もう一度獣医師としっかり話し合うことが大切です。

アナプラズマ症に関する意外な誤解

アナプラズマ症の誤解(3):室内飼いなら大丈夫?

「うちの犬は室内で飼っているから、マダニに刺される心配はない」と思っていませんか?それは大きな間違いです。

マダニは、草むらや公園だけでなく、庭先や街中の植え込みにも普通に生息しています。私たち人間がマダニを家の中に持ち込むこともあります。実際、散歩で草むらを通った人が、服に付いたマダニを家に連れて帰り、それが室内で飼っている犬に取り付くというケースは珍しくありません。私は、「室内飼いの犬でも、アナプラズマ症のリスクはゼロではない」とよく説明します。あなたの犬が一度も外に出たことがなくても、あなたが外からマダニを持ち込む可能性は十分にあります。アナプラズマ症の予防は、室内飼いかどうかに関係なく、すべての犬に必要な対策です。

アナプラズマ症の誤解(4):一度感染すれば免疫ができる?

「アナプラズマ症にかかったから、もう大丈夫」と考えるのは危険です。実際には、アナプラズマ症に対する完全な免疫はできません

アナプラズマ症の原因菌に対して、犬の体内で抗体が作られることはあります。しかし、その抗体は十分な防御力を提供しないため、別のマダニに刺されれば、アナプラズマ症に再感染する可能性があります。私は、過去にアナプラズマ症にかかった犬が、2年後に再びアナプラズマ症になったケースを経験しました。その犬は、予防薬を怠っていたため、新しいマダニに刺されて再感染したのです。アナプラズマ症は、一度かかっても、予防を続けなければ何度でもかかる病気です。あなたの犬がアナプラズマ症の治療を終えたからといって、気を抜かずに、定期的な予防薬とマダニチェックを習慣づけてください

E.g. :SFTSとダニ媒介ウイルス - 国立感染症研究所
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A - 厚生労働省
リケッチア感染症の概要 - 16. 感染症 - MSDマニュアル家庭版
SFTS等の最新の 動物由来感染症の発生状況について
マカオにおけるマダニ媒介性疾患:愛犬を一年中守るために

FAQs

Q: アナプラズマ症の初期症状を見逃さないコツは?

A: アナプラズマ症の初期症状は非常に非特異的で、多くの飼い主さんが「ただの風邪かな」と見過ごしがちです。私たち獣医師の経験上、アナプラズマ症で最も多いのは突然の高熱と元気消失です。愛犬が「なんとなくだるそう」「散歩に行きたがらない」といった変化があれば、まず体温を測ってみてください。アナプラズマ症では39.5度以上の発熱がよく見られます。また、関節痛のため足を引きずることもあります。ただし、アナプラズマ症のこれらの症状は他の病気でも起こるため、マダニに刺された可能性があるかどうかが判断の鍵です。最近、山や草むらに行ったなら、アナプラズマ症を疑って獣医師に相談しましょう。私が診たある症例では、発熱だけで他の症状がなく、飼い主さんが「元気がない」としか言わなかったので、すぐにアナプラズマ症の血液検査をしたら陽性でした。アナプラズマ症の初期段階で見つけられれば、治療も早く終わります。あなたの愛犬にこれらのアナプラズマ症の兆候が見られたら、ためらわずに検査を受けてください。

Q: アナプラズマ症の予防薬だけでは不十分な理由は?

A: マダニ予防薬はアナプラズマ症のリスクを大幅に減らしますが、100%完全ではありません。私たち獣医師がよく説明するのは、予防薬がマダニを「刺す前に殺す」か「刺した後に殺す」かによって効果が異なる点です。例えば、経口タイプの予防薬はマダニが吸血を始めると効果を発揮しますが、マダニがアナプラズマ症の病原体を唾液に移す前に殺せるかどうかは製品によります。実際に、予防薬を使用していてもアナプラズマ症に感染した犬を診たことがあります。だからこそ、毎日のマダニチェックがアナプラズマ症予防の第二の柱です。特に、足の指の間や耳の裏、首の周りは見落としがちなポイントです。また、アナプラズマ症予防のためには、予防薬を毎月欠かさず投与することが重要です。一度忘れると、その隙にマダニに刺されてアナプラズマ症に感染するリスクがあります。私たちは、予防薬と日々のチェックを組み合わせることで、アナプラズマ症から愛犬を守れると実感しています。

Q: アナプラズマ症の治療期間と注意点を教えてください。

A: アナプラズマ症の治療はドキシサイクリンという抗生物質を14~30日間投与します。多くの犬は治療開始から数日でアナプラズマ症の症状が改善しますが、ここで注意してほしいのが「症状が良くなっても薬を最後まで飲み切ること」です。私たちはよく「アナプラズマ症の症状が消えても、細菌が完全にいなくなったわけではない」と説明します。中途半端に薬をやめるとアナプラズマ症が再発するリスクがあります。私の経験では、アナプラズマ症の治療を途中でやめた犬が再び発熱したケースがありました。また、アナプラズマ症の治療後も長期間抗体検査で陽性が出ることがありますが、それは過去の感染の痕跡であり、再感染ではありません。ただし、新しいマダニに刺されればアナプラズマ症に再感染する可能性はあるので、治療後も予防は継続しましょう。全体的には、アナプラズマ症の予後は非常に良好で、ほとんどの犬が完全に回復します。あなたの愛犬がアナプラズマ症の治療中に嘔吐や下痢などの副作用が出たら、すぐに獣医師に相談してください。

Q: アナプラズマ症とライム病の違いを簡単に教えてください。

A: どちらも同じマダニが媒介する病気ですが、アナプラズマ症とライム病では症状の出方が異なります。私たち獣医師が診察するとき、アナプラズマ症では急な高熱と全身の倦怠感が目立つのに対し、ライム病では関節の腫れや跛行(足を引きずる)が主な症状です。アナプラズマ症は感染後1~2週間で発症するのに対し、ライム病は感染後2~5ヶ月と潜伏期間が長いのも特徴です。ただし、同じマダニが両方の病原体を媒介するため、アナプラズマ症とライム病に同時にかかる混合感染は珍しくありません。実際、私が診た症例でも、アナプラズマ症と診断された犬の約3~4割がライム病にも陽性でした。そのため、アナプラズマ症が疑われる場合は、ライム病の検査も同時に行うことをお勧めします。治療薬はどちらもドキシサイクリンなので、混合感染でも一つの薬で対応できるのが救いです。あなたの愛犬がマダニに刺されたら、アナプラズマ症とライム病の両方を疑って、獣医師にそのことを伝えてください。

Q: アナプラズマ症の検査はどこで受けられる?費用の目安は?

A: アナプラズマ症の検査は、一般的な動物病院で受けられます。私たち獣医師は、アナプラズマ症が疑われる場合、まず血液検査で血球数と血小板を調べ、その後にELISA検査やPCR検査を行います。費用の目安としては、血液検査が3,000~5,000円、ELISA検査が5,000~8,000円、PCR検査が10,000~15,000円程度です。ただし、アナプラズマ症の検査は他のマダニ疾患(ライム病やエールリヒア症)の検査とセットで行うことが多く、その場合は合計で20,000~30,000円になることもあります。私の経験では、アナプラズマ症の症状が出ている犬には、まず迅速に結果が出るELISA検査を行い、陰性でも症状が強い場合にはPCR検査を追加するのが良い方法です。また、最近はマダニそのものを検査に出すサービスもあり、3,000~5,000円でアナプラズマ症の有無を調べられます。あなたの愛犬がマダニに刺されたら、まずはかかりつけの獣医師にアナプラズマ症の検査について相談してみてください。

著者について

Discuss


関連記事